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Web行動心理学研究所は、ディスプレイ広告のパフォーマンスを向上させるため、株式会社インフォデックスが外部有識者の皆さんと共に運営している研究チームです。 ユーザーがWeb広告と接触して反応する際の「行動心理」について、基礎的な研究やテスト配信に基づいたデータの蓄積~公開を行っています。 ブログでは、マーケティングや広告制作に活用できそうな行動心理の紹介や、行動心理を適用したバナーを実際に広告配信をして広告効果を検証したレポートなどを掲載しています。

無料/大幅値引きキャンペーンには有意義なものとそうでもないものがある。その違いは・・・


株式会社インフォデックス"

企業がよく実施するキャンペーンに無料/大幅値引きキャンペーンがあり、世間の話題にのぼることも少なくない。この種のキャンペーンの動機として、以下の「返報性の原理」があることは明らかだ。

人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱くが、こうした心理をいう。この「返報性の原理」を利用し、小さな貸しで大きな見返りを得る商業上の手法が広く利用されている。至近な例では試食がある。
【返報性の原理】まずはお客様にメリットを与えよう。見返りは後からついてくる! - Web行動心理学研究所 - Powered by infodex co.


この場合の企業負担総額は「一人当たり負担額または機会損失額(A)×対象人数(B)」となる。一方で返報性の観点からはAが大きいほど利用者への影響力が強いはずが、AもBも大きくなると総費用が膨大になってしまう。

従って限られた予算を有効に使うためには、「Bをいかに戦略的に絞り込むか」という視点が絶対に必要になる。その意味で参考にすべき好例として挙げたいのが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の子供無料キャンペーンだ。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの好例

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USJは今年(2016年)、関西在住の小学生以下児童を大人一人ごとに入場無料にするキャンペーンを夏季限定で実施した。

両親と子供二人の場合、通常だと約二万五千円の入場料に飲食お土産の支出を加えると、少なくとも三万五千円の出費は確実だ。それが子供の無料化で二万五千円程度に抑えられるのであれば、思い出作りにと奮発した家族もさぞや多かったことだろう。

一般的にこの種のキャンペーンは閑散期に実施されるが、今回はファミリー需要が旺盛な夏休み。やる必要性が無いばかりか、短期的には赤字が危惧されるものの、補って余りある長期的メリットを見据えていると思われる。

というのも、企業の持続的発展には一人の顧客から長期にわたって得られる収益すなわちLTV(顧客生涯価値)の発想が不可欠であり、今回の子供無料キャンペーンにより「お蔭で連れて来てもらえた」と子供心に刻まれた感謝の念はやがてデートで、そしてさらに時を経て自分の子供や孫を引き連れて幾度となく足を運ばせる効果が期待できる。

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ちなみに脳科学の知見によると、事実よりも感情の記憶の方が強く、仔細な出来事は忘れても楽しかった印象だけは残り続けるという。楽しい思い出は本人にとって財産であると同時に、機会を提供した企業にとっても長期収益につながる貴重な財産なのだ。

特にその後の人生が長い子供の思い出作りほど返報性のレバレッジが効いて有意義だと考えられる。前記したように無料キャンペーンでは対象者の戦略的絞り込みが重要だが、USJの事例は大きなLTVが見込める子供に焦点を当てた巧妙な「損して得取れ戦略」なのである。

「今だけ無料」、「大幅値引き」をやればいいのか?

さてECも例外ではないが、近頃では「今だけ無料/大幅値引き」の売り文句が跋扈するキャンペーンをよく目にする。具体名にはあえて触れないが、詐欺的な商法が大きな社会問題になった事件がまだ記憶に新しいところだ。

確かに「今だけ無料/大幅値引き」キャンペーンは、「今買わなきゃ損」という強迫観念を呼び起こすとともに、希少なほど対象の価値を高く感じやすいので強大なセールスパワーを秘めている。

なので、やれば確実に短期的な誘客に成功するが、基本的にLTVの増大には役立たないと考えられる。繰り返すが、無料/大幅値引きキャンペーンの理想的ゴールは、思い出作りへ貢献してLTVを極大化することである。

一見すると同じような無料/大幅値引きキャンペーンの形態でも、改めて消費者心理の視点で考えると有意義なものとそうでもないものが存在することに留意されたい。

この記事の作者

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四元マーケティングデザイン研究室
代表 四元正弘

1960年神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業。
サントリー(株)でワイン・プラント設計に従事し、発明協会賞を受賞。
1987年に電通に転職。メディアビジネスの調査研究やコンサルティング、消費者心理分析に従事する傍らで筑波大学大学院客員准教授も兼任。2013年3月に電通を退職し独立、現在は四元マーケティング研究室代表を務める。


・プロフィール
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