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Web行動心理学研究所 - Powered by infodex co.

Web行動心理学研究所は、ディスプレイ広告のパフォーマンスを向上させるため、株式会社インフォデックスが外部有識者の皆さんと共に運営している研究チームです。 ユーザーがWeb広告と接触して反応する際の「行動心理」について、基礎的な研究やテスト配信に基づいたデータの蓄積~公開を行っています。 ブログでは、マーケティングや広告制作に活用できそうな行動心理の紹介や、行動心理を適用したバナーを実際に広告配信をして広告効果を検証したレポートなどを掲載しています。

「社会運動に飛び込むマーケティング」のすすめ-社会問題への取り組みこそ企業ブランディングの王道


株式会社インフォデックス"

いろいろなスポーツで企業がスポンサーになっている。莫大な費用を払ってスポンサーになるのだから、相当のメリットが企業にはあるはずだが、さて、そのメリットは何だろうか?

多くの人は「企業イメージを上げるために決まっているじゃないか」と思ったことだろう。それは正解なのだが、では、スポンサーになることと企業イメージとの間にはどのような関係があるのだろうか。

実は、その紐解きが今日のテーマである。

プロスポーツチームへのスポンサードは、強力な企業ブランディング装置

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人は接触を繰り返すうちに相手に「良いイメージ」を自然と持つようになる、という有名な心理ルールがある。しかも同じ目標に向かう仲間意識を伴うとき、特に強まることが知られている。
スポーツは勝利へ向かい一丸となれるので、ファンとスポンサー企業との強い仲間意識を生みだす。スポーツとは、ファンのスポンサー企業に対するイメージを高める強力な企業ブランディング装置でもあるのだ。

例えば、プロ野球。日本の球団の大半は赤字だが、親会社の施設利用率や商品購入率を調べると、一般人よりもファンの方が顕著に高い。そのため、企業グループ全体では球団の赤字を補って余りある収益をもたらす。実際に私が電通にいた当時、この調査分析で二球団の身売り話を止めました、マジに(笑)。

そして当たり前だが、スポンサー価値はファンや関心者の数に比例する。だから企業は、大規模なスポーツイベントや人気チームのスポンサーになりたがる。その最たるものがオリンピックやW杯、というわけだ。

社会問題への取り組みはより強力な企業ブランディング装置

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そして、同じ目標を共有するという意味では、社会問題も同じである。

しかも、関心者の数ではスポーツを遥かに上回る。そりゃそうだろう、私を含めてスポーツに無関心な人も多かろうが、地球温暖化や格差社会などの社会問題に対して無関心でいられる現代人はほとんどいないのだから。

しかし、大きな落とし穴もある。人は解決できない課題を無視するのが常で、この現象はいわゆる「認知的不協和原理」としてよく知られている。ある課題が目の前に存在するのに解決できないとき、そこから生じる葛藤や不快感を軽減させるために、課題そのものから逃げようとするからだ。

したがって、「解決の糸口がようやく見え始めた社会問題に対して企業が積極的に解決のための支援をするCSR 活動」こそが、前述のスポーツスポンサーを遥かに上回る、実は最強の企業ブランディング装置とも言えるのだ。

CSR活動は単なる慈善事業では決してなく、優れたマーケティング施策

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どの社会問題を支援するかの決定には解決可能性や関心規模、先取性などを勘案した戦略性が求められる。
そこで、また質問。ある企業はCSR活動としてNPOに寄付をしている。では、以下のどちらの表現の方が、マーケティング的効果が高いだろうか?

①売り上げの金額の一部を寄付します。
②お買い上げの金額の一部を寄付します。

答えは断然、②。「お買い上げ」という文言で消費者の存在を示すことで、消費者と企業が一緒になって寄付する仲間意識が強く醸成されるからである。

つまり、どんなにマーケティング戦略は優れていても、最終的に消費者が受け取るコンテンツの出来次第で収益に大きな差が生まれるものだ。特に言葉の比重が相対的に高くなるWEBコミュニケーションほど、消費者と企業の仲間意識を醸成するコミュニケーションや言葉選びを常に意識していただきたい。



さて、比較的新しい社会問題の一つに、LGBTや性的マイノリティの人権がある。昨今は同性婚を認める国や公共団体が増えてきたり、同性愛カップルでも入れる保険が次々と発売されるなど、今まさにその解決糸口が見えてきた。

そして、それと同期するようにLGBTを含む性的マイノリティを支援する企業も最近増えているが、それを単なる善意の発露と捉えるだけでは本質は見えてこない。解決可能性・関心規模・先取性などの好条件が揃ったCSR活動として企業ブランディングへの有用性を高く評価したうえで、性的マイノリティを取り巻く大きな社会運動の中に飛び込んでいるという理解が正しいだろう。

ただし、このような社会運動論的なマーケティングは、企業が日常的に行っているものとは考え方もやり方も大きく異なる。ではどうすれば良いのか?・・・

宣伝になって恐縮至極だが、ご関心を持たれた方は是非、私が最近上梓した『ダイバーシティとマーケティング』(宣伝会議)もお読みいただければ幸いです。


ダイバーシティとマーケティング -LGBTの事例から理解する新しい企業戦略- | 宣伝会議オンライン
宣伝会議刊(2017年3月1日より全国書店・ネット書店にて発売)


この記事の作者

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四元マーケティングデザイン研究室
代表 四元正弘

1960年神奈川県生まれ。東京大学工学部卒業。
サントリー(株)でワイン・プラント設計に従事し、発明協会賞を受賞。
1987年に電通に転職。メディアビジネスの調査研究やコンサルティング、消費者心理分析に従事する傍らで筑波大学大学院客員准教授も兼任。2013年3月に電通を退職し独立、現在は四元マーケティング研究室代表を務める。


・プロフィール
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